人と音色MAGAZINE
“音に触れる”サウンドデバイス「ネイロキューブ – Rondel」

“音に触れる”サウンドデバイス「ネイロキューブ – Rondel」

2025年11月、神戸市・しあわせの村で開催されたミュージックパーク。
このプログラムの中で、人と音色が開発するサウンドデバイスをお披露目しました。

音を閉じ込めた箱を傾けたり、転がしたりすることで音色やサウンドが変化——楽器の知識も演奏経験もいらない、”音に触れる”ためのサウンドデバイス「ネイロキューブ」を楽器デザイナーの中西宣人氏とともに開発しました。

Rondel(ロンデル)は、ネイロキューブの第一弾コラボレーションモデルです。サステナブル材を使用した箱のデザイン・造形を乃村工藝社が担当。音のアプリケーション(IP)は人と音色が持つ——「IPとコラボ」という構造で生まれたのがRondelです。

8つ箱を並べたり、積みあげたり、自由に音の空間を作ることができる装置を通して、「ごちゃまぜ」な交流が生まれることを目指したプロダクトです。

Photo: HARRY

開発背景:「ごちゃまぜ」の空間を、音の力でデザインする

「公園で行われるイベントの中で、誰もが”ごちゃまぜ”になれる仕掛けをつくりたい」という未来創造研究所のチームからお声がけいただき企画が始まりました。

わたしたちは、ただ”ごちゃまぜの環境(場所)を用意する”のではなく、人々の関わり合いを誘発し、”共につくる体験”を生み出すためのインターフェースが必要だと考えました。そこで着目したのが「音」です。言葉や年齢、障害の有無といった壁を越え、直感的に共有できる「音の空間」を自由に作り出せるデバイスとして、ネイロキューブの構想が形になりました。

体験設計:空間を創り、音に触れる

01:好きな距離感で、音の空間を共創する

Rondelの8つの箱は、自分だけの空間を作るための”音響ブロック”です。公園に集う人々は、箱を好きな場所に持ち運んだり、他の人と箱を持ち寄って組み合わせたりと、自分にとって心地よい距離感で配置し、「音の空間」を自由にレイアウトすることができます。

02:直感的に、音の形を変える

箱を傾けたり転がしたりすることで、流れる音色やビートがシームレスに変化します。サイコロのように6面で6種類のビートが切り替わる箱や、向きに応じてピッチが滑らかに変わる箱などを実装。通常は「耳を傾けて楽しむ」だけの音楽を、誰もが「手で触れて遊べる」体験へと変換しました。

実証の様子:非言語のコミュニケーションと、高い没入感

会場に並んだ8個のRondel。最初に興味を示したのは小さな子どもたちでした。ためらいなく手を伸ばし、押して、傾ける。それだけでダイナミックに音の空間が動き出します。

少し遅れて、大人たちも触れ始めました。操作方法や正解の音は一切説明していません。それでも、誰もが自分のペースで「音を触る」感覚を見つけ楽しんでいました。

40cmという高さは、幼児が全身を使って自然に「転がして遊ぶ」のにぴったりのサイズ感でした。一方で、持ち上げるには少し大きいため、友だちや保護者と協力して動かす共同作業も自然と発生。ここに私たちが目指した「ごちゃまぜ」のヒントが垣間見えました。

また、箱を壁のように配置して”自分の部屋”を作り遊んでいる子どもたちも全体の2割程度見られました。音に包まれたプライベートな空間への没入感は非常に高く、しばらく出てこないほど熱中する姿が観察され、「滞在して楽しむ体験コンテンツ」としての可能性も実証されました。

まとめ:ちがいが重なりあう、仕掛けとしての音あそびの可能性

今回初披露されたRondelが生み出した一番大切なことは、「うまくできた人」と「できなかった人」を分けなかったことだと思います。

操作に正解はない。鳴る音は人によって違う。隣の人と違う音がしていても、それは失敗ではない。「自分の音」と「だれかの音」が同じ空間に重なっていく——それが「ごちゃまぜ」の実態でした。音に触れる体験は、その壁を崩すことができる。Rondelはその可能性を、実際の場で届けることができました。

空間プロデュースのプロフェッショナルである乃村工藝社との共創だからこそ、私たちは「音」という目に見えないものを、「空間をつくる体験」として設計することができました。箱を動かし、配置を変えることで、空間全体の音の景色が変わる。空間と音が一体となることで、誰もが自然に参加できるインクルーシブな場が生まれたのだと思います。

この体験は、場所を変え、文脈を変えて、再現できると考えています。

Rondelを用いて、あなたの街にも「ごちゃまぜ」をつくる

「音楽は誰かのもの」という思い込みを溶かし、誰もが参加できる体験を設計すること。それが人と音色の得意領域です。今回の乃村工藝社とのコラボレーションを経て、ネイロキューブというデバイスが持つ「場づくり」の可能性を強く感じています。今後、箱のデザインや内蔵する音を変化させることで、さらに多様な文脈を持つ空間にも展開していけるはずです。

コラボレーション展開例

  • ハードのカスタマイズ:地域の木材を使用した筐体、ブランドカラーの塗装、全く新しい形状のデバイス開発など。
  • ソフト(音IP)のカスタマイズ:地域特有の環境音、街の声、企業を象徴するサウンドロゴ、など。

「ちがいを一緒に楽しむ」体験や、音を通じた新しい空間づくりにご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。またRondelの導入や、ネイロキューブのオリジナルモデル開発についても、ぜひお問い合わせください。

クレジット

ネイロキューブ 『Rondel』
企画・開発)
株式会社乃村工藝社 未来創造研究所 / 株式会社人と音色 / 中西宣人(株式会社A-KAK、フェリス女学院大学)

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しあわせの村ミュージックパーク ワークショップレポート(乃村工藝社)

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